留袖も振袖も、どちらも女性の礼装とされ、着物のなかでは一番格式が高いとされています。
この二つの着物の袖丈の長さの違いや、着る人の未婚既婚の違いには、どんな理由があるのでしょうか。
留袖と振袖のそれぞれの名前の由来と、袖丈の長さの違いにはどんな理由があるのかについて解説します。
目次
振袖の名前の由来と袖の長い意味は?既婚女性が着るのはNG?
振袖の名前の由来や袖丈が長い理由、未婚の女性しか着てはいけないのかについては、次の通りです。
振袖の名前の由来と袖丈の長い理由
江戸時代には、女性が男性から求婚された時に、袖の振り方でYES、NOの返事をしていました。
昔は女性が言葉で返事を伝えるのははしたないこととされていて、袖を振ることで、意思表示をしていたのです。
また、袖丈の長い着物を着るのは、自分が未婚であることをアピールする意味もありました。
ちなみに、江戸時代の未婚の女性が着ていた振袖は、袖の長さが53cm~57cmくらいしかなく、今の振袖よりもずいぶんと短いものでした。
既婚女性は着てはいけない?
現代でも、振袖は未婚女性の礼装とされていて、基本的には未婚の女性が着るものです。
ただし、今では昔ほど厳密でなく、結婚して間もない若い女性は、友人の結婚式などに着ることも珍しくありません。
留袖の名前の由来は?昔の留袖は今の留袖とは違うの?
留袖の名前の由来と、今の留袖との違いは次のようになります。
留袖の名前の由来
留袖とは、「袖を留めた着物」という意味で、元々は、振袖の袖丈を短く切った着物のことを指していました。
結婚する時に、振袖の着物の袖丈を切って短くするのですが、「切る」は「縁が切れる」に通じて縁起が悪いため、「袖を留める」と表現したのです。
現代の留袖との違いは?
現代では、留袖と言えば、既婚女性の礼装である、黒留袖や色留袖のことを指します。
しかし、昔は振袖の袖を切って袖丈を短くした着物のことを、普段着でも留袖と言っていました。
時代が変わるにつれ、未婚女性の礼装である振袖に対して、既婚女性の礼装である着物のことを留袖というようになりました。
留袖と振袖の名前の由来と袖の長さが違う理由についてのまとめ
振袖の名前の由来と袖丈の長い理由
・江戸時代には、女性が男性から求婚された時に、袖の振り方でYES、NOの返事をしていたため、袖丈の長い着物を着ていた。
・袖丈の長い着物を着るのは、自分が未婚であることをアピールする意味もあった。
振袖は既婚女性は着てはいけない?
・振袖は未婚女性の礼装で、基本的には未婚の女性が着るものだが、今は昔ほど厳密でなく、結婚して間もない若い女性は、友人の結婚式などで着ることも珍しくない。
留袖の名前の由来
・留袖とは、「袖を留めた着物」という意味で、元々は、振袖の袖丈を短く切った着物のことを指していた。
・結婚する時に、振袖の着物の袖丈を切って短くしていたが、「切る」は「縁が切れる」に通じて縁起が悪いため、「袖を留める」と表現した。
現代の留袖との違いは?
・昔は振袖の袖を切って袖丈を短くした着物のことを、普段着でも留袖と言っていたが、現代では、既婚女性の礼装である、黒留袖や色留袖のことを言う。
・時代が変わるとともに、未婚女性の礼装である振袖に対して、既婚女性の礼装である着物のことを留袖というようになった。